はじめての方へ
石材について知って頂きたいこと
建築材料としての天然石材
天然石を建築材料として使う歴史は古く、石材に高い耐久性があることは、石を使った多くの歴史的建造物が現存していることからも実証されています。
昨今の新築工事でも、マンション・ビルなど、必ずと言っていい程、天然石を建築材料に取り入れています。それは石材の持つ高い耐久性という特徴以外に、天然の石材が持つ美しい色や光沢、柄のバリエーションが、建物の美観の面でも広く好まれるためでしょう。
しかし、天然の石材は限りのある資源です。いつかは枯渇してしまいます。
既に国産の建築石材の大半は、建築用途に対応できるだけの品質や量が確保できない状況になってしまいました。そのため、現在は中国など、海外の石材に頼っているのが実情です。
「限りある天然素材である石材を、大切に末長く使っていただきたい。」
このホームページでは、そのために役立てていただける現場の"生"の情報を、できる限りお伝えしていきます。天然石材は、上手にメンテナンスすれば、10年でも26年でも、美しい状態のまま使い続けることができるのです。
築80年以上の登録有形文化財施設
定期メンテナンス作業の施工例
(外壁の垂れジミ洗浄と防汚・防水コーティング剤塗布)
天然石材の性質
(メリット・デメリット)
天然石材のメリット
石材は無垢(ムク)の状態で使用できる、数少ない建築材料です。
無垢材であるということは、表面に傷がついても研磨などで再生できるということです。
これが建築材料としての石材の一番の特徴であり、メリットです。
その他、天然石材のメリットとしては、
- 高級感がある
- デザイン性が良い
- 堅牢で強いイメージがある
などがあると思います。
これらのメリットを活かして、ビルのエントランスや外壁、マンションや個人宅の玄関など、建築物として特に美観やイメージ、耐久性の面で重要なポイントに使用されるケースが多いようです。
ただ、天然の石材にはもう一つ、吸水性がある、すなわち、「水を透してしまう」という性質も持っています。このことが建築材料としての石材に、いろいろな問題を起こす原因となってしまうのです。
天然石材のデメリット
「水を透してしまう」という天然石材の性質が引き起こす問題として、頻発している主なトラブルを挙げてみます。
- 【シミの発生】
飲み物や着色された液体などをこぼして放置してしまうと、シミが残って取れなくなる - 【サビの発生】
天然石材の中に含まれる鉄分が、浸みこんだ雨水などと反応すると、黄色や茶色に変色する(錆びる) - 【濡れ色現象】
外構などで石材の裏に雨水が回ると、石の表面がマーブル状に濡れたまま乾かなくなる - 【エフロ(白華)現象】
石材を接着するモルタルのアルカリ水を吸い上げると、表面に白い粉(白華・エフロレッセンス)が発生する
これらのトラブルは、いずれもモップやウェス(布巾)による清掃や市販の洗浄剤などでは対処できません(更に悪いことに、研磨剤などで磨いてしまったために、「シミが取れない上にツヤもなくなった」など、悪化させてしまってからご相談いただくケースも多いです)。
例えばシミであれば、その原因が石材の表層だけでなく、石目深くにまで浸透しまっていることがほとんどですので、より根本的な対策が必要になります。
また、建築石材の中でも特に使用頻度の高いものに、表面に美しい光沢を出した本磨き仕上げの大理石や御影石がありますが、これらは「酸性物質に非常に弱い」という弱点を持っています。
そのため、炭酸飲料や、ドレッシング、ポン酢、柑橘類の果汁など、酸性の液体に触れると、磨かれた石材の表層が溶けてしまいます。そうなると、せっかくのツヤや光沢が失われてしまうのです。
(この問題でお困りの方 石材の研磨・ツヤ出し復元処理について )
天然石材の付き合い方 日々のお手入れの大切さ
このように天然の石材には、見た目以上にデリケートな一面があります。
そのため、石材メンテナンスの技術や専門の機器や洗剤などが普及し始める以前には、「天然石を使うとトラブルが恐いので、あまり手を出さない方が無難」などと言われてきました。
しかし近年では、石材はビルやマンションなどさまざまな建物で、生活する上でとても身近な部分に使用されることが多くなってきています。そんな中、天然の石材を末永く、美しい状態で残していっていただくためには、まずその性質を知っておいていただくことがとても大切だと思います。
それだけでも、多く天然石を保護することにつながるでしょう。
また、吸水性があるという特徴から、
- 何かをこぼしたら放置せず、すぐにタオルなどで拭きあげる
- 水回りや玄関の床などに天然石材を使用している場合、水滴を残さないようにする
ということが大切です。
プロによるメンテナンスの必要性
定期的な清掃や、濡れなどに注意しながら大切に天然石を手入れしていても、やはり経年劣化は起こります。1年や2年単位で、微細な汚れも蓄積されてきます。
石材に長い時間をかけて蓄積された汚れは、通常の清掃では取り切れません。
ダイヤモンド研磨などを行って物理的に除去するか、あるいは石材専用の洗剤を使用して、正しい手順で洗浄する必要があります。
汚れ除去、ツヤ復元ダイヤモンド研磨作業の施工例
また、外装材に天然石を使用した場合は、紫外線や煤煙、酸性雨などで、石材の表面が汚れたり溶けたりして経年劣化してきます。
このような場合も研磨や石材専用洗剤を使った洗浄が必要で、さらに浸透性の保護コート剤などで保護してあげる必要があるのです。
また実際の施工の際には、石材の種類や特徴、施工状況、その建物の利用環境などに応じて、使用する洗剤や機器、コート剤などを適切に選ばなければなりません。
しかし、天然石とそのメンテナンスについての十分な知識と経験がないために、間違った資材や手順で洗浄などを行ってしまう業者も、まだまだ少なからず存在します。
「リニューアル工事で、かえって状態を悪化させてしまった」などといった例をたくさん見てきましたし、実際にそれらの工事の手直しの依頼を弊社もたくさん受けてきました。
こうしたことからも、通常清掃の範疇では対処できない石材のメンテナンス作業は、やはり石材の専門知識と経験のある業者に任せた方が安心ですし、長い目で見た費用対効果も、最も良くなるはずです。